キミがいた夏~最後の約束~
私が挨拶すると今までじゃれ合っていた動きをピタリ止めて、私を見て固まる二人
「え?あの…」
あれ?私、変なこと言ったかな?
「かわいい…」
え?
「笑った顔、かわいい~」
トビーさんにそんな思いもしないことを言われて
私は思いっきり赤面した
「トビーさん!これ俺の!」
橘先輩は何の対抗意識なのだろうか
私を指差しながら立ち上がる
ええ!?
「絶対おめーんじゃねーだろうが、名前も知らんかったクセに!…ったく」
そう呆れた口調で言った後、私に向き直ってニッコリ笑うトビーさん
「美鈴ちゃんって言うんだねぇ~名前もかわいいなぁ~、何が食べたい?」
聞きなれない言葉となんだか面白いやり取りに
戸惑いながら橘先輩を見ると
先輩はトビーさんを睨みながらヨロヨロと席に着いて呟いた
「トビーさん、俺オムライスとコーラ」
「ぷっ」
橘先輩、意外と子供っぽい
『何笑ってたんだよっ』という顔をしながらこちらを見る橘先輩
「なんだよ?夏と言えばコーラだろ?
ついでに、こう見えてトビーさんのオムライスは絶品だぞ?」
「お前は一言多いな…」
「美鈴は?何にすんの?」
「!?」
私は突然、橘先輩の口から飛び出した自分の名前に少し…
いやかなり照れてドキドキしていた
自分の名前なのに何だか特別な響きがする
考える思考も停止してしまって「じゃあ同じモノを…」っと私が言うと
それを聞いてまたイタヅラッ子の様に橘先輩が笑う
この人、女の子の扱い馴れてるな…
「あ~あ、お前はいきなり呼び捨て…?
まあいいや、OK、ちょっと待っててね美鈴ちゃん♪」
トビーさんはそう言って奥の厨房に消えしまった