キミがいた夏~最後の約束~
私の胸の鼓動が橘先輩に近づくごとに早くなる
一歩、また一歩
ゆっくり歩いたつもりなのにもう橘先輩の近くまで来てしまった
そして橘先輩の真横まで行って立ち止まると
目の前の橘先輩は少し髪が乱れているように見えた
ううん、髪だけじゃなくて服装も
そのことを口にしようとした時、私が横に来たのがわかった先輩は
俯いたままの状態で目だけをこちらに向けた
そのチョコブラウンの髪の間からのぞく橘先輩の目は
今までに見たことのないぐらい冷たい目をしていて
私をその場から動けなくする効果は充分にあった
「あ…」
声を出そうとするけれど上手く声にならない
すると橘先輩はまた私から目をそらして下を向く
そして悲しげな声が響いた
「アイツんとこ行っていいよ」
「え…?」
その言葉に信じられない気持ちで橘先輩を見るけれど、髪が邪魔して表情が見えない
「怒ってるとかそんなんじゃなくて…
美鈴にとってあいつが必要なら…」
どうしてそんなこと…
「俺…美鈴といるとドンドンかっこわりぃ自分が出てきて…マジで情けなくなる…」