いつか会えるね
今日は、同窓会なはずなのに。

「もしもし~?」

『もしもし!』

誰だ?
ヒロくんじゃない。

『ヒロの友達の佐久間です~!』

「あ。どうもはじめまして。」

『ヒロをどうぞよろしくお願いしますー!』

選挙か?


心の中でつぶやいた。

「あっ。いえいえ。
こちらこそ。」


電話口で、ガコッ、ガサガサッという音がした。

『もしもし!ケーコ?!』

ヒロくんだ!

「ヒロくーん!びっくりしたよ!」

『ゴメンゴメン!景子の話したら、友達が電話したいって言いだして。』

あせってる話し方。
でも、けっこう酔っ払ってる。

後ろから、かわいい、かわいいって、うるさいんだよー!って、声が聞こえてくる。

受話器から外れて、ヒロくんが、うるさいっ、って言う声が聞こえた。

電話の向こうが騒がしい。

『こんばんはー!』

女の声だった。

「あっ…。こんばんは…。」

『もう、本当に、彼女がかわいい、かわいいって、うるさいんですよー!』

「はぁ。ありがとうございます…。」

『あれ?同い年でしたっけ?』

「いっこ下です。」

『声が色っぽい~!落ち着いてる~!』

「えっ?!そんな事ないですよ。」

聞こえてくる声は、女の子らしく、かわいい。

『いやいや、本当、よろしくお願いしますぅ。』

「あっ。はい。」

『けぇこぉ~。…ゴメーン…。』

「あ!ヒロくん!
いいよ~!楽しそうだね!」

『うん。懐かしいから、盛り上がっちゃった。』

「良かったね!」

『うん…。じゃあ、また連絡するから。』

「うん。飲み過ぎないでね。」

『はぁーい!』

ブツッと切れた。

切るの早いよ。

そんなに楽しいのか?

彼女あつかいされて、嬉しいような、自分がいない空間で楽しそうにしている事に、ムッとした。



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