わかってた。
第1章
きっかけ
――――10月。
もうあれから3ヶ月になる。
ちなみに小倉とは一言も喋っていないどころか、目も合っていない。
なんか気になるんだよな、アイツって。
「…じゃあ席替えするぞー」
ゆったりとした落ち着きのある雰囲気の小谷先生。この人が俺のクラスの担任である。
今日も語尾が伸びて、ダルそうな喋り方だ。
『よっしゃー!』
『え―――!!やだー。』
『『いぇーい』』
ガヤガヤと騒がしくなる教室。
俺もその中の1人なわけで、
「早くしてぇな」
なんて近くのやつと一緒に呟いていた。
くじ引きで決まるこの席替えは、本当に運試しみたいなもんだ。
担任がいかにも手作り、って感じの箱を2つ取り出して、男女別の並んだ順にみんなくじを引く。
女子は一斉にダダダと並ぶが、男子はノロノロと引くため女子よりも遅い。
気になるアイツを見てみれば、アイツもノロノロと後ろの方に並んでいた。
……しかもなんか、すんげぇ不機嫌っぽいし。
顔に“めんどくさっ!”って書いてあるし。
本当、変なやつ。