ブラッディマリー
 


 24年培って来た価値観を凌駕して、先に身体に納得させようとする。



 本能とはもともとそういうふうに出来ているのだと、改めて気付かされた。


 和は背を向けたままの万里亜を見る。



 さっき俊輔に触られていたことは別に気にならなかった。


 それは元から自分の貞操観念が希薄だったからなのか、それとも芽吹き始めたヴァンパイアの感覚ではあの程度のスキンシップは瑣末なことなのか、和はうまく区別が出来なかった。



 わざと万里亜の──いや、女が感じる声で挑発していった俊輔。



 目覚めたばかりの自分では、今夜万里亜に血をやれないことを見越してそうしたのかと思うと、してやられた気分になる。


 目覚めたばかりのこんなに気怠い身体でも、それくらいなら楽勝だ。

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