ブラッディマリー
 

 途中でしゃくり上げたその仕種は、ヴァンパイアの女の妖しさの中にあってなお、どこかあどけない。





「……怒ってないよ」





 万里亜の剥き出しの脚に軽く口づけ、軽く舌を這わせる。


 そうしながら彼女の顔を見上げてやると、万里亜は涙を拭いながら恥ずかしそうに目をそらした。



「……だって……いつもは、こんなに強引じゃ……」


「自制してただけ」



 自分がさっき流した血の跡の残るデニム。和はそのベルトを、わざと音を立てて外した。


 万里亜の脚の指先が、ぴくりと震える。



「……怖いか?」



 万里亜はこくり、とかすかに頷いた。



 ……その瞳で、判ってしまった。



 万里亜がずっと実の兄に身体を好きにされていたこと。その兄は、ヴァンパイアだったこと。

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