ブラッディマリー
 

 和は口唇をきゅっと噛み締めた。



「……もしかしたらそれは、俺の父親……かも知れない」


「でも、和……どうして? 人間になったヴァンパイアなんて……聞いたことない」



 万里亜は言って、俯く。



「あたしだって……和が人間だった時の血と、今の和の血、両方の味を知らなきゃ、あたしだって信じられない」



 そう。


 昨日の夕方までは、確かに自分は人間だったのだ。



 けれどヴァンパイアになった理由は俊輔の牙のせいではないと、自分の身体が一番よく判っていた。



 が、それをイコールにするものが何なのかがさっぱり判らなかった。



「ごめんね和、あたし……何にも知らないヴァンプで」


「……そんなこと」



 そんなことねぇよ、と言いかけた和は、刺すような視線を感じ、ばっとそちらを振り返る。

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