ブラッディマリー
万里亜はにこっと微笑んだ。
「しばらくは、あたしの方が先輩だもんね」
「……サンキュー。大丈夫か?」
「うん。それより……」
万里亜がそっとパラソルから覗き込むと、尚美は手摺りを掴んで忌ま忌ましげにこちらを睨み付けている。
「女連れて帰って来るなんて、いいご身分ね! 人の気も知らないで!!」
何か喚いてはいるものの、とりあえずまた何かを投げて来る様子のない尚美に安心し、万里亜はパラソルを閉じた。
和はまた万里亜の前に立つと、ちっと舌打ちをする。
「西成、何してた!」
騒ぎを聞き付けたのか、執務室から走って出て来た西成に、和は声を荒げた。
「も、申し訳ありません!!」
顔を青くした西成は、本当に慌てているようだった。普段尚美が屋敷内をうろつくことなどないのだと、その空気で和は悟る。
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