ブラッディマリー
尚美と寝ていたこと。それについて回るのは、君子の死。
和の傷付いた瞳を覗き込むようにすると、尚美は満足げに身を翻す。
「誰にも責めて貰えないのが、あなたとあたしのしたことに共通した罰でしょ。なかったことにはさせないわよ」
その一瞬だけ、彼女は正気だったように思う。薄い笑いが消えていた。
「……そんなつもりはない」
「この家から逃げ出したくせに、よく言うわね! あたしは独りで耐えてたわよ!」
目を剥いて叫んだ尚美は、また駆け出した。一番奥の、あまり陽の当たらない部屋へ向かう尚美を、和は無意識に追う。
「……待てよ、尚美!!」
思わず呼び捨てにしたのは、自分の女だと思っていたからではない。
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