ブラッディマリー
 

 器用な舌で歯列をなぞられ、ぞわりと腰が震える。自分が男であることに付け込まれているのは、嫌でも判った。



 だけど、それ以上は──下に置いて来た万里亜の顔が浮かぶ。



 今更、聖人ぶるつもりはない。虫酸が走るだけだ。


 ただ、万里亜に与えると決めたこの身体を、自分自身をもう汚すわけにはいかない──そう思った。



「尚美さん……何があった?」


「……」


「俺が出てってから、何かあったんだろ? だから、俺に当たりたいんだろ?」


「……」


「けど俺、もう尚美さんを抱けないから……勘弁してくれよ。それに、欲しいのはそんなものじゃないだろ?」



 和の胸に顔を埋め、尚美は小さく震えた。



「……尚美さんの子はどうしたんだよ。産んだって聞いたけど」


「……敬吾さんが……」


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