ブラッディマリー
でも、自分がいなくなった後尚美が産んだ子は、必要ではないのか?
自分のようなあてにならない人間より、一から仕込み直せる幼い子どもを手元に置く方が、ずっといいのではないだろうかと和は思った。
それとも、尚美が産んだのは、敬吾の子ではないからなのか……。
もし俺の子だったなら……?
もう関係ないからと置き去りにして来たその可能性に、和は少しぞっとした。
けれどもし敬吾がそれを知っていてそうしたのだとしたら、尚美はもっと違うことを自分にぶつけた筈だ。が、尚美は何も言わなかった。
……やっぱり、こうして一人で考えていても、らちがあかない。
和が眉根を寄せ溜め息をつくと、目の前でかちりと音がして、空気が少し暖まる。
「……万里亜」
見ると、万里亜はライターを持ち、ゆらゆら揺れる火を慎重に和の前にかざしていた。
「商売女じゃあるまいし、やめろよ」
和は苦い笑いを浮かべると、それでもありがたく煙草の先で受け取る。
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