ブラッディマリー
「だって、くわえたまま動かないんだもん」
覗き込む万里亜の瞳の奥に、まだ心配が燻っていた。和はちらりと西成を見る。西成はまだ何か雑務があるのか、奥を行ったり来たりしていた。
和はぺろりと口唇を湿らせると、西成の背がこちらを向いた瞬間、万里亜の頭を引き寄せる。和は万里亜の口唇を塞いで、その中に舌を差し入れると、強引に絡ませた。
「ん、うっ」
万里亜の声が鼻から小さく抜ける。その高く甘い声に、ようやくほっと息をついた。
西成の動く気配に、和は万里亜からそっと離れる。万里亜は慌てて西成を振り返り、見られていなかったことを確認すると、恨めしげに和を見上げた。
「何考えてるの、もう」
「いいじゃん、別に」
涼しげな表情で、何事もなかったかのように紫煙を燻らせる和をしばらく何か言いたそうな瞳で見つめてから、万里亜は小さく息をついた。
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