ブラッディマリー
 

 そんな万里亜の気配を右半身で痛い程感じながら、和は煙でごまかして溜め息をつく。


 尚美の口唇の感触が消えてほっとした。そんなことを、気にしたこともなかった自分に少し傷付いた。



 ヴァンパイアになってから人間臭い感情や感覚を理解出来るようになっただなんて、皮肉以外の何物でもない。



 瞳の奥が熱く滲むのは、泣きたいからではなかった。



 泣いて済むことなら──そうしたかった。




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