ブラッディマリー
 


 こめかみから、冷たい汗が流れ落ちる。



 それを感じながら、和はばらばらになったパズルのピースが自分の中でゆっくりと、自動的に嵌まっていくのをただ眺めていた。



 震えそうになる顎を気にもせず、和の口唇は自分が認識するより先に答えを紡ぎ出す。



「あんた……あんたが母さんに言ったんだな?」



 敬吾は呟く和と目を合わせなかった。


 そして伏せがちな睫毛も微動だにせず、穏やかに澄んだ瞳の上にかかっている。



 ──こんな、憑き物が総て落ちたような父親の姿を見たことがない。



 己の罪を受け入れ償いに身を捧げたのち、聖人へと変貌を遂げた、真人間のようで。





「自分を愛しているなら黒澤の生き残りのヴァンパイア──俊さんの子を産めと、そう言ったんだな……!?」









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