ブラッディマリー
 

 小さく折りたたまれたそれを受け取り、和は指先に乾燥し切った紙の感触に違和感を覚えた。


 昨日や今日、折りたたんだものではない。すでに黄色く焼けたその紙からは、時間の蓄積を感じた。


 和は、ふと敬吾の手帳に目をやる。自分がまだここで心に何の曇りもなく暮らしていた頃から、敬吾はあの手帳を持ち歩いていたことを思い出した。



 そんなことを覚えていた自分に少し驚き、そしてまた思い出す。


 自分はいつも、父のあの手に抱き上げられることを期待していたな、と。



 口の中を無意識に噛み締めて、和は手元の紙に視線を戻すと、破いてしまわないよう慎重にそれを開いていく。


 折りじわまで年季の入ったそこには、母・君子の字がびっしりと詰まっていた。

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