ブラッディマリー
「何を……している!?」
ベッドの敬吾の顔が歪む。その視線は和を通り越していた。
「どうしてこう、回りくどいのかしら。さっぱり判らないわ。でも和が確かに黒澤の血を引いていると判れば、もう充分」
冷笑を含んだその声は、確かに万里亜のもので。
けれど、自分の腕の中で恥ずかしそうに笑ったときの声とあまりに違うその声色を、和は信じられなかった。
「貴様、和から離れろ!」
立ち上がることさえ困難な敬吾は、それでも険しい表情でそばにあった枕のシルクカバーを引き裂いた。
枕の中から羽根が舞い上がり、独特の鳥の羽毛のにおいが広がる。その羽毛の中から黒光りする鉄の塊を取り出した敬吾は、それを和に抱きついたままの万里亜に向けた。
銃だ。
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