十五の詩
身長差が20センチはある身体に抱きすくめられると動けない。
けれども、その抱きすくめられた腕の強さとは裏腹に、崩れてしまいそうな何かをユニスは受けとっていた。
「──ヴィンセント…」
「こうしておけば良かったんだ」
ユニスの向こうに別の誰かを見ているように、ヴィンセントは吐きだした。
「手離したくなかったものなら、何を言われてもあきらめるんじゃなかった」
なくしてしまったもの。自分を純粋にさせてくれた人。生きていた感情。
ユニスは何か言葉をかけようとして──やめた。ヴィンセントの背中に手を回す。そして抱きしめた。
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