美しいあの人
決して祐治のことが邪魔になったわけではない。
あたしが小説を書いているのは祐治のためだ。
祐治が家にいない時でも、祐治を感じることはできる。
なぜなら、あたしは祐治の半身だからだ。
西条祐治の三分の一は、あたしが担っている。
だから大丈夫。何の問題も無い。

あたしが小説を書いている限り、あの美しい人はあたしのものだ。
あたしがいなければ、祐治の夢は覚めてしまうのだから。
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