聴こえる
紗和があたためてくれたご飯を二人で食べる。こんな毎日も私にとっては癒しだった。
「お姉ちゃんさ…特進の生徒会のこと知ってる?」
不意に紗和が話をふった。
「総会のとき見るくらいかなぁ…校舎離れてるから名前とか知らないけど」
「副会長のことわかる?」
そう尋ねる紗和の顔はほんのり赤かった。
「えっと………あ!」
副会長の顔を思いだそうと1ヶ月前の総会を振り返ると、会長の代わりに話していた副会長の顔が浮かぶ。しかしその顔は、昼休みに見た顔と同じだったのだ。
「…その副会長さん、今日うちの校舎で見かけたよ」
私がそう言うと紗和はむせた。
「ええっ!?古賀先輩見たの!?いいなー!!」
「あの人古賀っていうんだ」
「古賀直弥だよー!お姉ちゃんいいな!特進科の校舎て出入り出来ないから古賀先輩の顔拝めるのって総会くらいなんだよね」
「拝む、って…」
「ほんと、古賀先輩かっこいいんだもん〜!」
「…好きなの?」
私がニヤニヤしながら聞くと、紗和は顔を真っ赤にして言った。
「……うん」
8.紗和
可愛い…。