大海の一滴
「いってきま~す」
「何だか最近元気がいいね」
おばあちゃんがニコニコ送り出す。
れいこはいつものように通学時間をやり過ごし、コスモス畑へ向かった。
さちちゃんと過ごすようになって、二週間が過ぎていた。
さちちゃんは、れいこの知らない遊びを沢山知っている。
コスモスやサザンカの花をピンセットで慎重に解体して、パーツを組み合わせて新種の花の押し花を作ったり、アリ地獄にアリを入れて食物連鎖の観察をしたり、捕まえた何匹ものザリガニを一つのバケツに入れて、ザリガニデスマッチという戦いをさせたり。
さちちゃんの遊びはちょっぴり残酷で、それが妙にれいこの心を惹きつけた。
「私は、あらゆることを実験しているのよ」
早く大人になるためにね。とさちちゃんは笑った。
お昼が毎日カレーであることを除けば、さちちゃんと過ごす時間は、本当に楽しい。
今日はコスモス畑にさちちゃんがいない。
(どうしたんだろう)
もしかしたら病気かもしれない。
不安になる。
さちちゃんがいなくなってしまったら、また独りぼっちになってしまう。
れいこはさちちゃんの家へ向かった。