ブロってますか?
「どうぞ。鍵開いてますから。」


入って来たのは恵美だった。


「お手伝いに来たわよ。いよいよ引越ね。どう美沙子少しは記憶の方戻ったかな?」


「ありがとう恵美ちゃん。う~ん、なかなかね。でも環境変わるとあっさり戻ったりしてね。」


「そうね。私もいつか遊びに行くからね。」


健一は恵美に真実を言うべきか迷った。もしかしたら、今日が恵美と美沙子が会う最後の日になるかも知れない。
が、言い出せない自分が居る。
恐らく後で知れば、恵美は烈火のごとく怒るであろう。
でも健一は今日だけは、笑顔で送り出して欲しいと思った。

程なく業者も来て、順調に作業も進み、荷物を満載したトラックは一足先に出発した。


健一と美沙子は、自家用車で向かう事になっている。


車に乗り込み、恵美にお礼を言う健一。

「ありがとう恵美ちゃん。恵美ちゃんにもいろいろ迷惑かけたけど。遊びに来てね。これがあっちの住所。」


メモを渡す健一。
それを受け取り、


「必ず行くからね。それまでに私を思い出してね。必ずよ。美沙子元気でね。」

窓越しに美沙子の手を握りしめる恵美。その姿に思わず涙が込み上げる健一。
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