ブロってますか?
一番目の人、特に可も無く不可も無く、これと言って特徴も無い人だった。

そして、またノック。

「どうぞ。」

何も言わず、いきなり椅子に腰掛ける女。少しカチンと来て、
「お名前は?」

聞く健一に、女が答える。

「佐藤!佐藤陽子。です。お願いします。」

ふてぶてしい態度。
『こいつかぁ、所長の言ってた女は。履歴書見たら主婦じゃないか。所長の奴、不倫してるのか!』
村下が出した小指が頭をよぎる健一。

「じゃ、佐藤さん志望動機は?」

「ここの、村下さんに頼まれて、村下さんって此処で一番偉いんでしょ。あんた部下?」

こめかみの血管が、浮き上がる健一。

「私は、村下さんの部下ではありません。本社の岡村と言います。」

「あらやだ、ごめんなさい。岡村さん、所長さんと違い、若いし、良い男!」

とたんに媚びる態度取る佐藤。

「佐藤さん、お子さん小さいみたいですが大丈夫ですか?」
「いつも、近くの実家に預けているから大丈夫ですよ。」

「では、後日連絡しますから。」

「あら、今採用って言ってもらってもいいですよ。」

「後日です。会社の決まりです。」

少しイラつきながら健一が答える。
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