ブロってますか？
渋々席を立つ佐藤。
「では、宜しく。」
出て行く佐藤を見送りながら、むかつきを抑え切れずイライラする健一。

深呼吸を一つして、次の面接者を迎える。

「西川理恵です。宜しく御願いします。」

「どうぞ、お掛け下さい。」

「失礼します。」

言われて席に掛ける理恵。

『今度の子は若いのに常識わきまえてるな。良かった。って理恵？理恵さんと同じ名前だ！』

改めて履歴書見直す健一。
扶養なし。
趣味トールペイントとたんに、ドキリとする健一。

「失礼ですが、独身でいらっしゃいますか？」

「恥ずかしながら、一度失敗しております。それで自立する為にも、御社の募集に応募いたしました。」

言葉に詰まる健一。改めて理恵をよく見る。
スレンダーなボディに涼しげな目元、いわゆる美人タイプ、いや、確かに知的美人である。
見つめていながらも、自然に自ら赤面するのを感じる健一。
「あの～、私の顔に何かついてますか？」

「い、いえ。し、失礼しました。事務職の経験はありますか？」

「はい、結婚する前に経理事務の仕事をしていました。出来ればフルタイムの仕事を希望します。」
健一の心はパニックを起こしていた。
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