ブロってますか？

目の前にいる理恵さん。恐らくメール相手の理恵さん。でも違うかも知れない。
「後日連絡をします。連絡は郵送で３日後になります。」

「本日はありがとうございました。」

理恵の後ろ姿を見送りながら、深い溜め息をつく健一。

『こんな場所で理恵さんに逢うなんて、何たる偶然、いや必然なのか？まてまてまだ理恵さんってわからないし…』

残りの面接者に対してもう上の空の健一だった。
予定の面接を終え、事務所に下りた健一に村下が声掛ける。
「いゃ～お疲れお疲れ！良い子いましたか？」
言いながら、健一の肩を抱きながら耳うちしてくる村下。

「佐藤頼むよ。それに西川って子、あの子可愛いねぇ。あんな子いたら職場楽しくなるよね。」
好色そうな目で、薄笑い浮かべる村下。
西川の名前でドキリとする健一。

『そぅか、面接者は事務所で待機だったから見てるんだ。しかしこのオヤジ！何しに会社来てるんだ。だが、どうするかな？私的事情は持ち込まないのが僕のポリシーだが…』

「はい、明日には採用通知を採用者に発送します。その前に所長に報告します。」

「そっか、どう？終わってから一杯。」
「いえ、今夜ホテルで資料の整理したいのでまた後日。」