ブロってますか?
翌日、営業所に出社した健一に早速村下が声掛ける。

「岡村君、事務の子決まった?」

「はい、佐藤さんと西川さんを採用するつもりですが、所長の御意見は?」

「OK、OK全てOKですよ。仕事が楽しくなりそうですね。」

いやらしい笑いを浮かべながら、席に着く村下。

心の中で深く溜め息をつき、デスクの1つに座りパソコンを開く健一。

この新規営業所は、所長の村下、他に営業課員として男性三名、倉庫出庫係の男性二名、それと新規採用事務職の教育係として、本社から一ヶ月出向して来ている女性社員一名。岡村はオブザーバー的立場である。

課員を見渡す岡村。
『この中で使えそうなのは、やっぱり近藤かな?』

近藤は入社二年目。この度の営業所開設に伴い、本社から移動して来た若手である。営業課が違うから一緒に仕事はしてないが面識はあり、同じ本社と言う事で何かと岡村に指導を仰いで来る。

明日は一旦本社に帰る岡村は、自分が採用した事務職の子達には会わずに帰る事になる。新規採用者の初出勤は来週からである。

もう一度机の引き出しあけ、西川の履歴書取り見つめる健一。そこには涼しげに微笑む理恵の顔があった。
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