ブロってますか？

田中の含みを持った言葉に狼狽する健一。


「じゃ、仕事に戻るわね。」


「ぼ、僕も降りますから待って下さいよ。」


慌てて田中の後を追う岡村。
心中は穏やかでは無い。


事務所に戻った２人の気配を感じ、机から顔を上げる西川と佐藤。
健一は２人と目が合う。
心配そうな西川の視線を受けると、まるで少女の様に胸がキュンとする健一。
次に佐藤と視線が合う。目が合った途端ウィンクして来る佐藤。
へきへきする健一。

『毎日こんな状態なら、その内頭おかしくなるな。おっそうだ！今夜近藤誘って見るか。』


「誰か今日の近藤君の予定分かりますか？」


メッセージボードの近藤の欄には外回りとしか記入されていない。健一の問いに西川が答える。


「近藤さんは、１８時帰社予定で〇〇物産の展示会応援です。」


「あーら、詳しいわね。私には近藤さん外回りとしか言わなかったのに。」


嫌みっぽく言う佐藤。そんな佐藤を疎ましく思いながら、


「ありがとう。西川さん。」


ことさら満面の笑みを浮かべ、西川にお礼を述べる健一に、

「社員の行動を把握しておくのも仕事ですから。」


これまた満面の笑みで返す西川。