運命のヒト
「もう夜だよ」
あたしはシロの後ろでクスッと笑った。
長すぎる昼寝から覚めたとき、時計を見て愕然とした経験があたしにもあるから。
「お昼寝ならソファですればよかったのに。フローリングの上なんかで、どんな夢見てたの?」
からかうように言ったあたしをシロが振り返り、そしてその瞬間、あたしは息をのんだ。
彼の瞳は、現実の世界から半分ぬけ落ちてしまったような色をしていた。
「……見ねぇよ。夢なんか、何も」
消え入りそうな声でつぶやいたシロが、ゆらり、と両手をこちらに伸ばす。
熱い息があたしの首筋にかかった。