運命のヒト
「別にしてないけど」
シロが答えると、大我は「やっぱりな」と高圧的に言った。
「ここに居候するなら小遣いくらいは自分で稼げよ。
ちょうどうちのバイトがひとり、風邪で休んで代わりが必要なんだ。
俺の親戚ってことにしといてやるから来い」
バイトの助っ人をお願いしてるとは思えない高圧的な態度は、さすが大我……。
だけど本当のところは、あたしが仕事に行っている昼間、シロをこの家でひとりにしないための策なんだろう。
シロが悪人じゃないことは分かっていても、いまだ得体が知れないのは事実。
そんな人を部屋においたまま目を離すなんて、普通の感覚で言えば不用心極まりないから。