運命のヒト
仕事上がりに急いで走ってきたらしく、ダウンジャケットの下は店用の白シャツだ。
「お前、料理ほとんど残しただろ。何かあったか?」
曖昧に微笑み、首を横にふるあたし。
大我が訝しげな表情を浮かべたとき、その頬に水滴がひとつ落ちた。
雨だ。あわててバッグから出した折りたたみ傘を広げる。
大我は傘を持っていないらしく、入れてあげようと腕を伸ばすと、身長差のせいで露先が大我の頬にヒットしてしまった。