運命のヒト
いつもと変わらないシロの様子に、あたしはどう接すればいいのか分からなくなった。
昨夜、この窓から飛ぼうとしたことを、彼は自分で覚えていないんだろうか。
「あの、シロ」
「ん?」
「……なんでもない」
聞きたいけど、聞けなかった。聞くのがなぜか怖かった。
そうして会話もなく、しばらくふたりで景色をながめていた。
――『大失敗だ……』
――『俺、どうしても行かなきゃいけない所があるから』
――『このまま死にたいくらいに』
これまでの断片的な言葉が、脳裏に現れては通り過ぎる。
シロ。あなたは誰で、何を抱え、何を隠し、そして、どこに消えてしまうの……?