運命のヒト
あたしは思いつめた瞳でシロの横顔を見つめた。
視線に気づいた彼は、すっと顔をそむけると突然立ち上がった。
「お前、早く帰った方がいいんじゃねーの?」
「え?」
「シャワー浴びて会社行く準備しなきゃだろ」
部屋のすみに置いていたあたしのコートを手に取り、こちらへ渡してくる。
その態度が突き放しているように見えたのは、あたしの不安のせいだろうか。
「……シロは? 一緒に帰らないの?」
立ってコートを受取り、震える声で尋ねた。
「もちろん帰るよ。なんで?」
どうしてそんなことを訊くんだ、と言わんばかりの不思議そうなシロ。
「だって……」
だって、怖いから。
シロがいなくなっちゃいそうで怖いから。
昨夜みたいに、雪の中に飛んで消えていってしまいそうだから。