運命のヒト

そうだ、あの日記で読んだんだ。

たしか『遊園地で雨が降ってきて、ひとりのお兄さんが濡れていたから傘を貸してあげた』って……。


そこまで思い出したとき、俺の目の前に黄色い傘が現れた。

そこには、小1の頃より少し成長したお前がいた。

お前は恥ずかしそうに俺に傘を押しつけると、逃げるようにお父さんのところへ戻っていった。


俺はとっさにお前に話しかけたんだ。

「2年前、一緒に遊んだよね?」って。

でも、お前はまったく覚えてなかった。

子どもだから忘れてるのかと思って詳しく説明したけど、サッパリだった。
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