運命のヒト
「ちゃんと酔ってるよ。顔に出ないタイプなだけで」
「ウソをつけー、酔ってないくせにっ。アンタはウソつき、ウソだらけの男っ」
「はぁ……」
うんざり顔のシロがおもしろくて、ケタケタ笑うあたし。我ながらタチの悪い酔っ払いだ。
でも、家の中でこんなに笑ったの、いつぶりだろう。
広くて殺風景なリビングも、人がいればまるで違う空間に見える。
「あ、そうだ」
赤ワインがあったことを思い出し、あたしは取りに行こうと腰を浮かせた。
けれど、立ち上がる前に動きを止めてしまった。
連鎖的にある名前を思い出したから。