運命のヒト
沢村さん。
あのワインは、彼が今度うちに来たら一緒に飲もうと買っておいたものだ。
そんな日は結局、来なかったけれど……。
とたんにモヤモヤしたものが胸に広がり、あたしは床にベタッとお尻をついた。
あの人に未練はない。むしろもう大嫌い。
だけど、ワインを買ったときの自分を――
“彼を好きだと感じていた自分”を思い出すと、急に何もかもウンザリした。
……いつからだろう。
恋人と別れた後、寂しさよりも、自分への失望の方が重くのしかかるようになったのは。
「ん、どした? 美園」
「ニセ物の愛でセックスしたら死刑になる国に行きたい」
シロは飲んでいたビールを少し吹き出し、「はあ?」と顔をしかめた。