運命のヒト
するとシロは、ほんの数秒だけ間を置いて
「ん? まぁ、すっげぇー遠いとこ」
と、とぼけた態度で答えた。
「遠いとこって」
「そうだな、海のむこう」
「って外国?」
「そ、アメリカとか」
「アメリカかぁ……」
「の、もっと向こう」
「ブラジルとか?」
「の、もうちょい右。あっ、やっぱ左」
「……まじめに答える気、ないでしょ」
唇をとがらせるあたしに、ヘラヘラ笑う。
なるほど、徹底的にはぐらかす気らしい。
そっちがその気なら、こっちも遠慮する必要はないだろう。