運命のヒト

心臓がせわしなく早鐘を打っている。

おかしい。このくらいのことでドキドキするような歳じゃないのに――。


「うおっ、遊具なつかしーな!」

突然、シロが子供のような声を上げてあたしから離れた。


「テンション上がるわマジで!」

そう言いながら、さっさと遊びに行ってしまうシロ。

取り残されたあたしは、ぽかんと口を開けて立ち尽くす。


いや……あの、別にね。あたしが勝手にドキドキしてただけですけども。

でも普通、目の前で女が顔を赤らめてたら、ちょっとくらいイイ雰囲気を作るのが男ってもんじゃないの?


若干はぐらかされた気がしなくもない。

けれど、運動場ではしゃぐシロを見ていたら、自然と笑みがこぼれてきて。


「……バカ」

あたしは独り言をつぶやくと、鬼ごっこをする子供のようにシロのあとを追いかけた。



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