桜、雪、あなた




「ミオちゃん何ニヤニヤしてんの」

「いやー、癒されてるなぁって」

「それは間違いねぇな」

「でっしょー?! 空気がおいしいもんっ」

「なー!なーんか呼吸しやすいっつーか」

「あははっ! わかるわかるって………あ。」

と、
その時



「ん?なした?ミオちゃん」

「ヨウスケくんあれ、見てー」

「うん?」



ふと周りを見渡したら

あたしたちのすぐ近くで地元の新聞記者らしき人が
人込みを、桜の木々を、パシャパシャと何枚もフィルムに収めている姿が偶然目に止まって



「写真撮ってるー」



そう言いながら
あたしはその方向を指差した



「あー 記者かぁ。ご苦労さんだなぁ」

「ねー!」



そっかぁー
写真、かぁ。



「デジカメ…」

「へ?」

「あたしもデジカメ持ってくればよかったー」

「えっ?おれ写真嫌いだから撮んねーよ? 知ってるだろ?」

「ヨウスケくんと桜バックに撮ってもらいたかったなぁー!」

「…無視かよ。」

「ねー今度さぁ、ヨウスケくんとまたどっか行くとき撮ってもらおうねっ!」

「………。」

「………。」

「あー酒飲みてぇなー!」

「…無視っすか。」



…そうだ、忘れてた。

ヨウスケくん写真苦手なんだったっけ。
前に言ってたもんなー

多分 いや、絶対撮ってくれないな。
これは。



「けーちっ!!!!」



あたしはわざとヨウスケくんを小突いた。



「あぁ?何か言ったか?」

「いーえ!!」



それでもせめて写メだけでも…

と、
言おうとしたけれどあたしは言葉にするのを止めた。

『言ってもムダだな』

この意地悪な言い方と、聞いていないフリを決め込む時は
絶対に“ナイ”っていう事をあたしは一緒に遊ぶ様になって
きっちりと学んだからだ。

(けち!けち!けち!)

(写真位いいじゃん!)


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