桜、雪、あなた



「「かんぱーい!!」」





…ヨウスケくんは
時々、ずるい。

時々こうやってあたしを困らせる。



明るく振る舞ったりして、
だけど
決して本心を見せないー。

そんな所があるんだ。



「あー。なーんか元気出たかも」

「あたしのお陰でしょ?」

「間違いねぇわ」

「でっしょー?!」

「うぜ。」

「ひど。」

「ははっ!嘘だって!」



…この人は

きっと繊細なんだな

と、
思う時がある。

実際
今だってそうだ。

あたしを呼び出したのに何も言わないで。
そのクセ、何も言わせない雰囲気を作り出すんだ。

吐き出してしまえば
楽になる事だってあるのに

ヨウスケくんはそんな事はしない。
弱音を吐いたりなんてそんな事、絶対にしない。



「ミオちゃん今日仕事どうだった?」

「あー今日ねークレームあってさぁ」

「わー面倒くせ」

「そうなの-」



ヨウスケくんはそういう人なんだ。



どんな事にもひとりで乗り越えようとする
それ以上に強い気持ちを持っている人だって

あたしは

ずっと側にいて
それを

見てきたから。



『ミオちゃん、この前さぁー…』

『…えっ!それまずいじゃん!大丈夫なのっ?!』

『つーかもう大丈夫になったから笑い話で話してんじゃん』

『…えぇ〜あたしだったら笑えないよ〜……ヨウスケくんは本当にすごいわ…』

『はぁー?別にすごくなんかねぇよ』



あたしが知る限りのヨウスケくんを
あたしは知っているから。



だからこそ、あたしは何も触れなかった



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