あなた色に染まりたい
そんな蓮の腕にあたしのそれを絡めると、どちらともなく歩き始める。



「夕食まで時間あるからさ、散歩でも行く?」


「うん」



一度部屋に戻って、荷物を置いてから外へ出た。


この旅館は海沿いにあるから、少し足を伸ばせばすぐに海辺に出られる。


蓮と手を繋ぎながら砂浜を歩いていると



「ひゃっ」


「…っと、あっぶね。相変わらず紗羽はそそっかしいよな」



砂に足をとられて転びそうになったあたしを、素早く支えてくれた蓮。


そういえば二年前に来たときは、それをきっかけに、蓮と初めて手を繋いだんだ。


あの頃から、蓮に対して意識したりどきどきしたりするようになった。


といっても、そのどきどきが恋だと自覚したのは、それから二ヶ月も経った頃だったけど。



そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に時間が経っていて……


そのまま部屋へ戻った。
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