あなた色に染まりたい
「何でそんな寂しいことを言うんだよっ。」
沈黙が続いた後、蓮が吐き捨てるように、口を開いた。
「だって……永遠の愛を誓ったけれど、たった九ヶ月で終わっちゃったんだもん。」
「そんなの、運命の相手じゃなかったからだろ?俺の運命の相手は、紗羽さんだと思ってる。俺はぜってぇに、紗羽さんを裏切らねぇよ。」
さっき不安で揺れていた瞳とは対照的に、今度は突き刺さるようなそれで見つめてきて……
芯のある強い想いを感じる。
「すごい自信だね。」
「それだけ本気だから。」
正直、蓮の本気は痛いほど伝わってきている。
それに応えたいって気持ちもある。
蓮はあたしを裏切らないって……
蓮となら幸せになれるって……
どこかでそう信じているあたしがいる。
ホントは気付いているんだ……
あたしが蓮に惹かれ始めていること。
蓮と初めてあの桜の木へ行った時から、気付いていた。
パニックになって、初めて想ったのが……
一番ほしいと思ったのが……
蓮のぬくもりだった。
そして、そのぬくもりに安心した。