あなた色に染まりたい
それに……


付き合うのも、まだ怖いし。


ていうか、別れが怖くて付き合えないってのが本音なのかな。




この想い……


気付かなければよかった。




あたし……今まで通り、蓮の傍にいられるのかな。


そんな自信……まったくないよ。




「紗羽さん?」


「え!?」




あ……早速、必要以上に驚いてしまった。




「どうしたの?なんか、元気なくなってない?」




蓮が心配そうに、あたしの顔を覗き込んでくる。


その仕草に、心臓がトクンッと音をたてた。




元気はあるんだけど、たった今気付いた気持ちに、ついていけなくなったの……


なんて、言えるわけがない。




「紗羽さん?」




蓮はさらに、あたしの顔を覗き込んでくる。


ち、近いよっ……




ドキドキドキドキ……




さっきたてた音とは比べようがないくらいに、心臓が一気に走り始めた。


ホントにどうしよう。


顔も……凄く熱い。


蓮は、それにも即座に反応する。




「体調悪い?顔が赤い気がする。」




そう言って、額に大きな手をあてた。




「うーん、熱はなさそうだけど。紗羽さん、疲れちゃった?帰ろうか?」


「うん……」




体調が悪くないだとか、そういうことを口にできる状態じゃなくて……


たった一言、そう言うことが今のあたしの精一杯だった。


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