あなた色に染まりたい
「紗羽、最近どう?」


「何が?」


「ん?蓮と。」




え…


もしかして、悟にもバレちゃってるの?




「何も、ないよ。」


「そうか?でも、紗羽変わったよな……いい意味で。」


「そ?」


「ん、蓮のおかげじゃね?」


「うん、それは認める。」




こんなに穏やかな気持ちで日々を過ごせているのは、間違いなく蓮のおかげ。


悟にも、それが伝わっているんだ。




「早く新しい恋ができるといいな?」




悟の言葉は、心からの言葉だってわかっているから、余計に嬉しい。




「うん……いつもありがとね。美香もそうだけど、悟にもいっぱい助けられたよ。」


「そうだな、いっぱい助けたなぁ……はは。でもここ最近は、その役目、全部蓮に持っていかれてたからな。」




確かに……


蓮と出会ってからは、悟の出番はめっきり減った。




ピンポーン……




「あ、蓮じゃね?」


「うん、たぶん。」




玄関を開けると……


少し疲れたような顔をした蓮が立っていた。




「蓮、おかえり。」


「ん、ただいま。あれ、誰か来てんの?」




足元には、普段そこにはないスニーカーとミュールがあることに気付いた蓮。




「うん、美香と悟が来てるの。蓮、何飲む?ビール?」


「おぉ……」


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