羽田くんとうさ子の関係。




「やっと来たか、うさ子」



「やっと…って、約束したのは今日だけでしょ?」



「でも1、2回は来るだろ!メールもしたのに!」



羽田くんは睨んでるのか、ガン見しているのか分からないぐらいの目力であたしを見る。



「メールって、あんなメールきたら反対に行きたくないですよ」



バイトを辞めてから1度羽田くんからメールがきた。

内容は日にちとその日の時間が書かれていて、その下には「俺のシフト☆」と書かれていた。



「俺が一生懸命、シフト見ながら打ったのに…」



「あたしだって暇じゃないんですー」



そう言うけど、高校を卒業してから友達と遊ぶ以外ずっと家で寝ていた。


そんな時に羽田くんからメールがきた。

本当はメールを見た瞬間、会いたい気持ちでいっぱいになった。



でも、ここで羽田くんに会いに行ったら、このお店を辞めた意味がない。

だから、約束したこの日までここに来ることはなかった。




「うさ子が来るの待ってたのに…」



「はいはい…」



そんなこと言われたら、さっさと忘れられないから言わないでほしい…。

でも、そんなこと言うのが羽田くんだ。



「で?うさ子は俺が終わる時に一緒に帰るんだよな」



「まぁ…あと2分ぐらいですよね?」

時計を見れば短針が9に、長身が12にあともう少しで着くことだ。



「うん、一緒に帰ろうな」



「しょうがないですね」


口ではそう言うけど誘ってもらったことが本当は嬉しかった。

本当、あたしって素直じゃないな…。

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