恋の魔法と甘い罠
今まで誰にも、慎也さんとのことを話すことができなかった。


口止めされていたってこともあったけれど、会社とは無関係な学生時代の友達には話してもよかったはずなのに……。


それすらできなかったのは、きっと、慎也さんと身体を重ねるだけの関係になってしまっていたことに、どこかで不安を抱いていたから。


そしてその不安が的中して、悪い方向へ転がってしまったという現実を目の当たりにして、さらに話せなくなってしまったんだ。


でも和泉さんは、そうやって心の奥にできてしまった深いキズにも気付いてくれて、さらにそれらをゆっくりとやさしく癒そうとしてくれている。


凄く意地悪なところもあるけれど、それ以上にあたしの心を暖かくしてくれる。


だから今心の奥に溜まっていることも、自然と違和感なくあたしの口から飛び出していた。
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