恋の魔法と甘い罠
自分の中でそう結論が出たら、伏せていた視線をあげて真っ直ぐに慎也さんを見つめながらそれを口に出した。



「あたしは……もう、好きじゃないです」


「!」



はっきり言ったあたしの言葉に、慎也さんは大きく目を見開いた。


でもそれはすぐに細められてやさしく微笑む。


その表情に、どきんっ、と胸が音をたてた。


そして慎也さんの右手があたしの頬をそっと包んで、そのままあたしに視線を合わせると、



「それ、ほんと?」



瞳を細めながら何かを窺うようにそう訊いてきた。


もしかして慎也さんはあたしの言葉を信じていない?


もしそうだとしたら……


真実を知ってしまっても慎也さんのことがまだ好きなのに、ようやく別れを告げることを決心して、こうやって慎也さんと向かい合いながら言いたくないことを言っているのに……


それがすべて水の泡になってしまう。
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