恋の魔法と甘い罠
だけど慎也さんは、和泉さんの言葉を聞いて、ぐっ、と眉を寄せた。


そしてあたしたちからふっと視線をそらすと、ゆっくり立ち上がって、



「また来るよ」



そう言って玄関の方へ歩いていった。


ついさっきまでの状況から逃れられてほっとしながらその背中をじっと見ていたけれど……


今、『また来るよ』って言った?


それは困る!


ちゃんとあたしの気持ちを話したし、もうこうやって二人では会いたくない!


そう思うと、すぐに慎也さんを追いかけた。



「慎也さん!」



靴を履いてドアノブに手を掛けている慎也さんに声をかけると、ちらり、と視線を寄越してきた。


だけどその表情はさっきよりも遥かに不機嫌なもので。


出かかっていた言葉が喉の奥で、くっ、と詰まった。
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