恋の魔法と甘い罠
意味がわからなくて首を傾げる。



「……玲夢が失恋したときに俺が慰めたようにさ」



あたしが失恋したとき?


それって……慎也さんに奥さんがいるって知ったときだよね。


てことは――



「……」



あの日ことは全く覚えていないけれど、翌朝に受けた衝撃があまりにも大きすぎて、あの日に起こった出来事を忘れることはできない。


慰めるって、そういうこと?


もし、そうだとしたら……



「本気、で言っているんですか?」



あたしがそう訊くと、和泉さんは口許に笑みを浮かべてあたしの瞳をじっと見ながら、



「どうだと思う?」



と訊いてきた。


きっといつもみたいにからかっているんだ……と思いながらも、あたしに向けている瞳はとても真剣なものに見えるから、ほんとのところはどっちなのかわからない。
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