恋の魔法と甘い罠
「アイツには口説いているって言われたけれど、ほんとはそんなんじゃなくて……」



そこまで言った和泉さんはそらしていた視線をまたあたしの方へ戻して、真っ直ぐにあたしの瞳を見つめながら、



「玲夢が傍にいてくれたら何も考えずに眠れるかなって……ただ単純にそう思ったんだ」



何も考えずに……


それって、今日の紗羽さんの結婚式のこと?


そうだよね。ひとりになったら嫌でもそのことを考えてしまう。


だから和泉さんはいつもより早いペースで飲んで、酔って忘れようとしたのかもしれない。


あたしだって慎也さんに失恋したときはそうだったもん。


もし、あたしが傍にいることで和泉さんが何も考えることなく眠れるのなら……



「いい、ですよ」


「え」


「今日は、和泉さんと一緒にいます」


「……」
< 217 / 357 >

この作品をシェア

pagetop