恋の魔法と甘い罠
違うって、あたしの心の中にはまだ慎也さんがいるって、その答えしかないと思っていたのに、なぜかそれを口に出すことはできなくて。


けれど和泉さんはそんなあたしの心を読んでいるかのように、



「なわけねーか」



とふっと笑みをこぼす。


その横顔を見て、“うん、そんなわけない”と思いながらも、胸の奥では小さなもやもやが広がっていく。


そしてそれを隠すように口を開いたけれど、



「今夜は傍にいるので安心して眠ってくださいね」


「はあ?」



あたしの口から飛び出してきた言葉は、和泉さんが『俺のことが好きなのか?』とか『煽っているとしか思えねぇ』と勘違いしてもおかしくないようなもので。


けれどあたしはそんなつもりで言ったわけじゃなかった。
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