恋の魔法と甘い罠
そしたら和泉さんはすっと立ち上がってさっきの写真の前まで行くと、それを手にとって、すぐ横にある棚の引き出しに片付けた。



「えっ!」



何も言っていないのに、あたしの言いたいことがわかっているような行動に、吃驚しすぎて大きな声が出た。



「あれ? 違った?」



あたしの声に反応するように、和泉さんは引き出しを閉めたあとそう言いながら振り返る。



「この写真が気に入らねーのかなって思ったんだけど」



なんて、首を傾げながらそう付け加えた和泉さんには、あたしの心の中は全て筒抜けなんだ……と恥ずかしくなった。



「違わないです」



小さく呟くようにぼそぼそと話すあたしに、和泉さんはふっと笑ってあたしの隣に腰かけると、



「可愛いヤツ」



そう言って、あたしの髪をくしゃくしゃと撫で回した。
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